2012/03/09いわゆるコピペ問題と著作権(1)
大学生の就職活動の際、企業に提出するエントリーシートで「コピペ」(コピー&ペースト)が蔓延しているそうです。就職活動をしていた長男から聞いたことなのですが、確かにインターネットで検索すると、業種ごとの「志望動機」例文集が見つかります。何十社にも提出するものだからコピペは仕方ない、と言う人もいるようですが、自分の言葉で書かない志望動機に意味があるのでしょうか。
大学でもコピペは大きな問題だと以前から聞いています。酷い例では、レポートを書くとき、テーマに合った既存の論文などからコピペしただけで繋ぎ合わせる場合もあるそうです。
エントリーシートに描かれた志望動機、既存の論文の文章は言語の著作物として保護されており、著作者の許諾なくコピペ(複製)することはできません。では、すべての「コピペ」が著作権侵害となってしまうかというと、実際には「コピペOK」としてインターネット上に公表されている文章もあるため、そうとは単純には言えません。
そもそも、レポートを作成するとき、自分の論理を補強するためなどで他人の文章を引き合いに出す場合は当然あるでしょう。そこで、その場合には著作権者の許諾を得るか、著作権法で定められた「引用」を行うことになります。
ただし「引用」の要件は条文だけからは判然とせず、過去の裁判例等からみると次の要件を満たすことが必要だと考えられます。(1)引用される著作物が公表されていること、(2)引用部分と自分の著作物が明瞭に区別されていること、(3)自分の著作物が主で引用された著作物が従の関係であること、(4)引用する必要性・必然性があること、(5)原則として出所を明示すること。
ビジネス著作権検定を受検する方は、この要件については理解していることでしょう。もし、知識があやふやになっているようなら、改めて確認してみてください。
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