2014/01/14委員長コラム Vol.24
前回、ネットにアップロードした著作物の著作権が誰にあるのか、あるいは自分が著作権者であることを証明することが難しいという話を書きました。どうれば、この問題は解決するのでしょうか。
もしかすると、特許権などの他の知的財産権と同じく、著作権の権利発生要件として、著作物と著作者を登録する制度を導入すればよいという考え方をする人がいるかも知れません。しかし、これは著作権に関する国際条約であるベルヌ条約違反となってしまいます。条約に加盟したまま、それに反する著作権法改正を行うことはできないので、現実的な解決策ではありません。
法的に難しければ技術で解決する方法はあり得ます。著作物のデジタルファイルに著作権者名などの情報を埋め込むのです。例えば、ACCSも団体として加盟している「デジタル時代の著作権協議会(CCD)」では、コンテンツID、権利者ID、利用者ID、許諾条件を一つの体系としたCCD-ID規格を策定しています。このような権利者情報の埋め込みが普及すれば、デジタルコンテンツの著作者の証明も容易になっていくことでしょう。
デジタル著作物に限らず、そもそも、著作物が誰のものか分かりやすくするとともに、自分の著作権であることを明らかにしておくためには、まずは著作権表記が必要でしょう。○の中にcの字を入れた)cマークは現在では法的には意味を持つものではありませんが、著作権者をあらわず表記としてこのマークを活用する意味は大きいと思います。cと共に表記するのは著作権者であることに注意が必要ですが、個人が創作する著作物の場合、著作権譲渡が頻繁になされることは多くはないでしょうから、著作権法第14条と併せてこの著作権者表記は有効に機能する可能性があると考えられます。
このように考えると、学校などでの著作権教育において、著作権法を理解することと同時に、自分の著作物であることを明らかにする、という教育がもっとなされていいのではないでしょうか。その延長上に、著作者が不明な著作物が増えることが抑えられるとともに、著作物の利活用にもつながるでしょう。それが、著作権法の目的である文化の発展に寄与することに繋がるものと思います。
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