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久保田裕の著作権コラム

2014/05/30委員長コラム Vol.26

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TPP(環太平洋パートナーシップ協定)交渉のニュースの中では、知的財産権についても話し合われていると報道されています。この内容について、皆さんはご存じですか?

報道によると、米国が日本に要求している項目として、(1)著作権保護期間を現在の50年から70年に延長すること、(2)著作権侵害の刑事罰を非親告罪化すること、(3)法定賠償制度の導入などといわれています。法廷賠償とは、著作権侵害で損害を被った額を証明しなくても、ペナルティとしての賠償額を裁判所が決定できるという制度のことです。

このうち、(2)の非親告罪化について、皆さんはどう考えますか?まず、現在の著作権法は親告罪であることは、ご存じですね。親告罪とは、刑事裁判を行うために、著作権者の告訴が必要という制度です。非親告罪化とは、つまり、著作権者の告訴がなくても、捜査機関が起訴できるようにしようということです。

もし、非親告罪化されたら、どうなるでしょう。海賊版の販売の中には、大規模な業務として行っているような業者もいます。こうした業者に対しては、著作権者が告訴を待たずに迅速に刑事摘発を行える可能性があるという考えもあるでしょう。

しかし、著作権者でなければ、著作物の利用に許諾を与えたかどうか分からないのが現実で、非親告罪化されても捜査の段階でも刑事裁判での段階のいずれも著作権者の協力が必須で、刑事摘発を捜査機関のみでは行いえません。と、なると、非親告罪化することでの効果はそれほど期待できないと考えられます。

これらはあくまでも報道によるものなので、実際どのような内容が盛り込まれるのかはわかりません。いずれにしても、TPP交渉の動向は今後の著作権法の動向に影響がありそうです。皆さんも交渉の経緯を注意してみて下さい。

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