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久保田裕の著作権コラム

2014/10/03委員長コラム Vol.29

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論文でコピペをしても、著作権侵害に当たらない場合があると前回のコラムで書きました。一つは、著作物ではなく実験結果のデータなど単なる事実である場合。もう一つは、過去の自分の著作物からコピペする場合です。また、他人の論文やレポートから他人の著作物を自分の論文にコピペした場合でも、著作権侵害に当たらない場合があります。どういうときでしょうか。

まず、それが「引用」に当たる場合です。「引用」と認められる条件は、まず、引用する部分をカギ括弧などでくくり、自分の著作物と明確に区別すること。次に、自分の著作物が主で、引用した部分が従という関係であることが必要とされています。さらに、コピー元の出所を明示することも必要です。こうした条件に従っていれば、他人の論文やレポートからコピペしたとしても著作権侵害とはなりません。

ちなみに、報道の中には、よく「無断引用」という言葉が使われることがあります。引用とは、無断で行って構わない行為ですから、これは「引用」を著作権法の意味で見ると、間違った表現といえます。

もう一つ、他人の著作物からコピペしても著作権侵害に当たらない場合があります。それは、コピーする際に、コピー元の著作権者から許可を取る場合です。著作権の基本中の基本ですが、勝手にコピペするのがいけないのであって、許可があれば構わないのです。

論文やレポートのコピペ問題は、著作権侵害、著作権法違反として見られがちですが、著作権だけの問題として捉えると、結論を誤ってしまう場合があるので注意が必要です

もちろん、著作権侵害に当たらないから、他人の実験結果データや、許可を得た先輩の論文をコピペしていい、ということはありません。論文を作成する上で、他者のデータや先行論文を利用する場合は、法律とは別の慣行が研究分野ごとに存在します。

なお、ACCSの会員企業であるアンクがコピペ判定ソフトを販売しています。論文やレポートの不正を発見するツールとしてだけではなく、正式な引用を除外する機能もあり、論文を作成する立場としても、引用ルールを正しく使っているか自己チェックすることもできます。論文を審査する側も、執筆する側も、こういうソフトを援用する時代が来ているのかも知れません。

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