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久保田裕の著作権コラム

2016/01/27委員長コラム Vol.37

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年が明けて米国から興味深い裁判の話が伝わってきました。サルが自撮りした写真の著作権は誰のものか、というものです。<br>
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事の経緯は、インドネシアの自然保護区内で、カメラマンのカメラをサルが勝手に触り、自撮り写真が撮れたことに始まります。これが実に味のある写真だったために方々で利用され、カメラマンが自分に著作権があると訴えました。ところが、これに対して動物愛護団体が、著作権はサルにあると訴えたそうです。<br>
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判決は、サルが偶然に撮影した写真はサルに著作権はない、というものでした。米国著作権局では、人が創作しないと著作物ならないとしています。これは、日本でも同様の結論になると思われます。<br>
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日本の著作権法において、著作物の定義は覚えているでしょうか。「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」ですね。著作物として保護されるには、「人」の思想、感情が表現されてなければならないわけです。著作物に該当するかどうかを考えるときは、常に、ここに立ち返って考える習慣を身につけておいて下さい。<br>
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そういえば、タイには象が描いた絵を売っている観光地があるそうです。この場合も、象が描いた絵に著作権はないのでしょうか。象に絵を描かせる場合は、象を道具のように使って絵を描かせたり、事前に絵の具の色の選択や絵筆の動かし方など教え込んで象に自律的に描かせたりと、調教師さんの関与の度合いと絵の表現内容によって、「人」が描いた著作物になる場合とそもそも著作物にならない場合があるでしょう。<br>
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機械が絵を描いたらどうでしょうか。例えばコンピュータやタブレットを使って描いた絵の場合は、機械を単なる画材として使っているだけですから創作者の著作物となりますよね。では、写真をパソコンに取り込んで、フォトレタッチソフトで油絵風に変換した画像はどうでしょう?これはフォトレタッチソフトの機能を使って自動的に油絵風に加工していますが、変換者の創作的加工は加えられていませんので、写真の著作物の複製物と考えるべきでしょう。それでは、プログラムが自分で学習するAI(人工知能)を持って、自動的に作成された絵の場合はどうなるのでしょう。最初にプログラムを組んだ人も想定しなかった絵を描いたとすると・・・。これも現状では著作物とはなりませんが、今後の著作権を考える上で面白いテーマだと思います。
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