2022/02/08委員長コラム Vol.42
先日、鹿児島と新潟でeスポーツと著作権をテーマに講演を行いました。新潟はコロナ禍の第6波の影響でオンライン開催に変更されましたが、昨今、eスポーツが盛り上がってきていることは間違いありません。なお、eスポーツとは、一般社団法人日本eスポーツ連合JeSU)の定義によると、「広義には、電子機器を用いて行う娯楽、競技、スポーツ全般を指す言葉であり、コンピューターゲーム、ビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称」とされています 。現在、全ての都道府県ではありませんが、多くの地域でeスポーツの普及団体が組織され、健全な大会運営を目刺し、自治体と連携しながら諸活動を行っています。
実は、私はJeSUのコンプライアンス委員会の委員も務めています。この委員会では、組織のガバナンスやドーピング問題、あるいは、判定(レフェリング)へのクレーム等競技の公正を担保するための対処方法など多岐にわたる諸問題を議論していて、法律問題としての著作権法だけを扱っているわけではありません。ただ、eスポーツでは、リアルスポーツ以上に著作権を意識しておかなければなりません。
例えば、eスポーツ大会の主催者が、ゲームソフトのキャラクターを抜き出して勝手に会場にポスターとして貼っていたら、ゲーム音楽や効果音を会場で流していたら、それは許されることでしょうか。あるいは、対戦の映像をYouTubeなどにアップロードすることはどうでしょう。これらのことは、著作権を勉強していれば、何か問題がありそうだとわかりますよね 。では実際に、何が問題で、どうすれば解決するか分かりますか?
そもそも、eスポーツで対戦するゲームソフトは、その開発会社が著作権を持つ著作物です。したがって、著作物を利用するためには、著作権者の許諾を得るということになります。それが、著作権法の大原則です。ゲームソフトのプレイ映像 は、勝手にスクリーンに映写すれば著作権の中の上映権を侵害することになるし、勝手にインターネットで配信すれば公衆送信権の侵害になります。とすれば、それぞれ、著作権者であるゲームソフト開発会社に許諾を求めなければなりません。
ただし、このことは、ACCSのWebページにも簡単にまとめています。そのリンク先であるJeSUのかんたんeスポーツマニュアルには、JeSU加盟のゲームソフト会社の問い合わせ先がまとめられています。ここでは、著作権だけではく、景品表示法や刑法の賭博罪といった関連する法律についても触れられています。eスポーツ大会を開きたい、あるいは、大会の映像を公開したい、といったことを考えている方はぜひ参考にしてくだ さい。私の所属するACCSでは JeSUを著作権の観点からサポートしており、ユーザーと著作権者の間に入り、健全なeスポーツ普及に貢献したいと考えています。
著作権は難しいと言う方もいますが、基本が分かってしまえば、こうしたeスポーツの扱いについても簡単な応用問題に過ぎません。ぜひ、著作権検定を目指して勉強して、著作権の基礎的な知識を身につけてください。eスポーツに限らず、現代社会において、あらゆる仕事、あらゆる場面で役立つ知識だと思います。
コロナ禍にあって、リモートWebテストで受検できます。特に地方の方は、都市部の会場に出向く必要がないので、交通費などがかからず、より気軽に受検できるようになりました。ぜひ、皆さんのトライをお待ちしています。
電子パンフレットを
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サンプル問題を
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