株式会社 富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ PJC
株式会社 富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ
ビジネスマネジメント本部
人事部 主幹エキスパート 高橋 浩也 様
人事部 宮 慧嬋 様
弊社の実践日本語コミュニケーション検定(以下「PJC」)を継続的にご活用いただいて、もう3年になります。導入に至るまでの経緯をお聞かせください。
- 高橋:
- 弊社は社名が示すとおり富士通グループで、企業や自治体向けの情報システム構築のサービスを幅広くご提供している企業になります。
2008年からグループ複数社合同で、中国の大学生をインターンシップ生として受け入れているのですが、PJCを受験しているのはそれら中国からの学生たちということになります。
- CE:
- 日本にはどのぐらい滞在されるのですか。
- 高橋:
- 8月から10月までの3ヵ月間ですね。
- CE:
- 社員のアシスタント業務に就かれるのでしょうか。
- 高橋:
- いいえ、アシスタントではなく、インターン生にも自分の担当業務を持ってもらう形です。さすがに電話対応はむずかしいですが、学生を含む4、5人のチームで業務にたずさわってもらいますし、課としてのミーティングや部としてのミーティングにも出席したり、そういう意味では社員と同じ環境にずっと居てもらうことになります。
- CE:
- 日本にはどのぐらい滞在されるのですか。インターンシップ生として来日が認められるまでに、語学力の条件などはありますか。
- 高橋:
- まず、業務に関係してもらうのでITについての素養があることは大前提です。次が日本語能力。だいたい10名の希望者を面接して例年2~3名をグループで受け入れるのですが、履歴書を提出してもらい、そこで日本語能力試験(以下「JLPT」)のレベルが書いてあれば見る、という程度です。
- CE:
- 今年のおふたりはJLPTを未受験だったと伺いました。つまり、N2やN3認定を持っていなければいけないわけでもない、ということでしょうか。
- 高橋:
- 面接のとき、こちらがどの程度のスピードで日本語をしゃべっていいか、という判定基準にはしますが、どちらかというと日本への関心がどのぐらいあるか、のほうが重要ですね。
- CE:
- 話を少し戻しますと、来日直後と帰国直前の二度、PJCをご受験いただいていますね。
- 高橋:
- 入国時と帰国時で果たしてどのぐらい日本語の理解力が変わったかを見てみたいと思ったのが、そもそもPJCを利用させていただいたきっかけです。PJCの評価はA+、A-、B+、……E+、E-と10段階になっていますが、これまで学生の成績をみていると、必ず1ランクは上がっているので、私たちの取り組みの方向性は間違っていないようで、安心しています。
- CE:
- 今回のおふたりには試験後のアンケートで「この試験を受けたあと、自分の不足しているところが分かりました」「二回受験し、一回目と比べて自分の進歩が見えます」という主旨のコメントをいただいたのですが、スコアを見ると日本語力の伸びがはっきり分かりました。どういう勉強をされたのか、とても興味があります。
- 高橋:
- 社員であるSE職の業務以外でいうと、週1回、1時間から2時間半、ここにいる宮が彼らの日本語を指導していました。
- CE:
- 宮さんは日本語教師のご経験がおありなのですか?
- 宮:
- 大学生のとき塾でアルバイトとして教えていましたが、専門の教師ではありません。
私自身は交換留学で日本の大学にまいりまして、帰国後、日本の大学院へ留学する形で再来日しました。
その卒業後に、日本人と同じ要領で就職活動をいたしまして、入社しました。
- CE:
- 同じ国の先輩から日本語だけでなく、会社のなかでの立ち居振る舞いを教われるという仕組みが、インターン生たちの日本語力の向上につながっている、ということでしょうか。
日本語指導には特定のテキストを使っていますか。
- 宮:
- 来日してまず、富士通グループの新入社員向け研修用のテキストを渡します。そこでビジネスマナーなどの基本を覚えてもらいますが、実はこの内容がPJCの対策として役立ったように思います。
- ビジネス現場にいることでヒアリング能力が伸びたのだろうと思いますが、それ以外では……週報を書いてもらったことも効果があったと思います。最初にインターネットの翻訳機能を使って、翻訳してもらった日本語の言葉の読み方も分からないまま文書の中に貼り付けることもありました。「読んでみてください」とお願いすると、自分で書いてきた文章なのに読めなかった言葉も多かったです。
ですから、日本語研修の時間、書いたものを声に出して読ませたり、お互いにディスカッションさせてみたりするようにしました。
- CE:
- それは力がつきそうな勉強ですね。
- 宮:
- 実はこれまでは2回目のPJC受験前に、特別な試験対策をしたことはありませんでした。今回は、サーティファイのホームページにサンプル問題が掲載されていますね。
- CE:
- ございます。
PJCサンプル問題
- 宮:
- それをダウンロードして、いっしょに勉強しました。PJCでどうやって良いスコアをとるかを考える、というよりは、試験問題を読んで答えを考える時間を持ったことが、彼らの日本のビジネスについての理解を深める役に立ったのかもしれません。
- CE:
- そうなんです!
サーティファイとしては、試験問題を通じて「日本人はこういう考え方をすることが多い」ということを理解していただいたうえで、実際のビジネスに活かしていただくことを望んでいるので、今のお話は、とてもうれしい内容でした。
そのほかでは、日本で生活していくなかで使う日本語でこういうときに困った。というような話が宮さんのお耳に入ったりしましたか。
- 宮:
- たとえばレストランに入った瞬間なにをいわれたか「何名さまですか、禁煙席でよろしいですか、お持ち帰りですか」など、早口で質問されますね。それが来日当初はまったく聞き取れずに苦労した、と言っていました。
スーパーやコンビニのレジでいわれる「わりばしは何膳ですか、ビニール袋はいりますか、ポイントカードはお持ちですか」などの定型フレーズについては覚えてもらうしかないので、リストにまとめました。