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サーティファイの活用事例紹介 サーティファイの資格検定試験を活用されている団体の事例をご紹介します。

Case-21

医療法人社団早雲会
理事 介護部 部長 田邉 光喜 様

医療法人社団早雲会様は、神奈川県内を中心に病院・クリニック・各種介護施設など、13施設を運営する医療法人です。昭和42年に相模湖病院を開院して以来、約50年に渡り地域の医療と福祉に貢献されてきました。組織体制の刷新を機に、様々な経営改革と法人クレドを策定され、平成30年7月に前身となる東華会から現在の「早雲会」と改名し従来以上に地域の医療と福祉に寄り添った事業を展開されています。

早雲会クレド「手抜きは見抜かれ、丁寧は伝わる」
1.よい医療、よい介護の提供
2.自立しようとする人、前へ進もうとする人をサポートバックアップ
3.当事者、スタッフ、両者の家族、皆の幸せの向上
4.恒産なくして恒心なし

組織名称を「早雲会」と改められました。その背景を教えていただけますか。

早雲会の前身である東華会は、昭和42年、相模原市緑区に相模湖病院(精神科・神経科)を開院し、地域の医療施設として貢献してきました。そして、相模湖病院で培われた医療の経験を活かし、平成11年、川崎市高津区に介護老人保健施設たかつを、地域に息づく介護施設として開設しました。その後医療、介護部門とも着々と事業所を増やし、現在医療部門は、相模湖病院の他3クリニックを、介護部門は老健たかつの他に、グループホーム6、小規模多機能施設1、デイサービス1を展開するに至っております。
しかしながら、施設数は着々と増加する一方で、法人運営は未熟なところが多く、中枢である法人本部のマネジメント能力が全く不十分であった結果、決して少なくない規模の負債を抱えた時期もありました。
そこで現理事長原が就任した平成24年以降、外部機関からのアドバイスを受けながら、徹底的な法人組織の体質改善に取り組んできたのです。地域の患者様、利用者様から何を求められているのか、そしてそのためには何が足りないのか。職員全員で再度自らを見つめなおし、サービスの向上はもとより、KPIによる経営分析、職員の教育研修など、さまざまな分野で業務改善を進めました。結果、予想をはるかに上回るペースで経営状況が改善し、我々が考えうる最高のサービスを患者様、利用者様に提供できる体制を整えることができました。
そして、新体制が確立し、満を持して「法人クレド」が決定した平成30年7月に、法人名を「早雲会」と改名し新たな一歩を踏み出すこととしたのです。

EXCEL表計算処理技能認定試験はどのような目的で採用されたのでしょうか。

理事長原の陣頭指揮のもと行われた、法人の徹底的な体質改善の一環として、平成28年に法人の管理者を対象として導入しました。
EXCELを使いこなすことで、様々な経営分析や経営指標を具体的に導き出すことができるようになります。極端なはなしEXCELの操作を「お経」に例えると、残念ながら体質改善を行うまでは上がってきた数値を写すだけ、「写経」がすべてでした。しかし、その数値を読み込み中身の意味が分かるようになると、業務に対する意識も変化してきます。そのため、施設管理者(係長)にはEXCELの3級を、本部管理者(課長以上)にはEXCELの2級と、さらに日商簿記の3級の合格を求めています。
管理者に最低限のPCスキルと知識を持ってもらうことはもちろんですが、必要となるスキルを明確にすることで、マネジメント業務に何が必要かを意識してもらうことを最大の目的としております。

ご活用に際してどのような課題がございましたでしょうか。

当制度導入時、かなり当惑した施設管理者は多かったと思います。これまで現場での評価だけで管理者を任命していた上、就任後もマネージャーとしての教育や研修を行っておらず、ある意味で野放しの状態でした。
また、「自分たちの仕事はあくまで日々その医療・介護現場を安心安全に守ること」を一義に考えており、PCに触ることが少なく不慣れな現場上がりの管理者にとっては、当試験の導入は青天の霹靂だったと思います。当然戸惑いも多く、最初に施設管理者対象で実施した3級試験では合格率は30%に満たなかったと記憶しています。

合格に向けた対策としてはどのようなお取り組みを行われたのですか。

まず各施設にいる事務員に受験してもらい、施設管理者に適宜EXCELの操作についてアドバイスさせることとしました。もともと施設管理者は、事務員に対して日々の出納状況などをEXCELに打ち込んでもらっていました。それが、二人三脚で資格に合格するためのコミュニケションも新たに生まれるなどの効用もあり、結果、3回目の受験で全員合格することができました。
本部管理者もほぼ全員が2級以上に合格しており、令和1年5月時点法人全体では、1級3名、2級9名、3級20名が合格しています。

実際に検定試験をご活用された結果、どのような効果がございましたでしょうか。

これまで良く言えば現場至上主義、悪く言うとマネジメント後回しだった施設管理者の意識が、この資格制度導入から少しずつ変化し、次第にマネジメント業務に移行しました。
これは単にPCスキルが上がったからだけでなく、法人が管理者に求めることが明確になったからだと考えています。クレドにある「恒産なくして恒心なし」は、「一定の安定がなければ、正しく落ち着いた心は持てない」という意味です。法人の経営基盤が安定していなければ、法人理念は実現できないという思いを込めています。
患者様、利用者様満足には、働く職員の満足が不可欠であり、そのためには法人の経営基盤が安定していなくてはなりません。施設管理者は、施設の経営基盤を安定させる使命があります。極端なはなし、経営が成り立たなくなれば、利用者様にサービスを提供すること自体が出来なくなってしまうわけですから。意識がマネジメントに移行することで、その使命に対する責任感が芽生えてきました。
また、現場至上主義の一面として昇格基準があいまいなところがあったのですが、なにをクリアすることによって管理者、あるいは幹部になれるのか。どんな実績があって今その役職についているのかについての基準が明確化したことも効果としてあげられますね。

受験されたかたの感想はどのようなものがございましたでしょうか。

前述の通り導入当初は困惑した者がほとんどでした。
「これまで野放しだったのに」「こんな資格役に立たない」「現場業務こそすべて」
ところが少しずつ合格者が増えてくると意識が変わり始めました。
「自分だけ不合格はまずい」「他が合格できるなら自分も」
といった動機もありましたが、
「現場の職員と管理者では、法人から求められている業務が違うのだ」
「自分たちは、利用者様だけではなくて職員、さらに言えば組織も守らなければいけない」
「管理者としてやらなければいけない使命に気づけた」
といった感想も多く上がってきました。
また、EXCELをうまく活用することで、ただデータを並べるだけではなく、その数値がどのように動いてきたか、どのように推移させるのかをより明確に見せることも可能となりますよね。そういった業務に対する「思い」を乗せられるスキルも、受験者の間では醸成されつつあると感じております。

今後の教育施策における課題や目標を教えて頂けますか。

施設管理者だけでなく、それを支える介護主任にも合格一時金を設定し積極的な受験を促しています。これは、管理者サポートだけではなく、いずれその立場に育ってほしいという法人のメッセージです。クレドにある「自立しようとする人、前へ進もうとする人のサポートバックアップをします」は、当施設を利用される方だけではなく、スタッフにも向けられているのです。
施設管理者がそうだったように、介護主任も、現場業務だけでなく「いずれは職員のことも考えなければならないし施設のことも考えなければいけない」というマネジメント業務に、意識が少しずつ広がっていくことを願っています。

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