皆さん、はじめまして。 ネットマーケティング検定公式テキストの著者で、株式会社ワールドエンブレムの代表取締役を務めております、藤井と申します。今日から、月に1、2回ほどの更新ですが、インターネットマーケティングに関する最新のトピックスについて、情報や解説などをお届けします。
インターネットビジネスの最前線について、マーケティングの視点から掘り下げていきたいと思いますので、ご参考になれば幸いです。第1回目は、「HoloLens」を取り上げます。
1.AR
昨今、様々な業界の間でバーチャル空間を利用した技術への関心が高まっています。その中でも新しい技術を活用したコンピューターとして注目を集めているのがHoloLensです。
HoloLensはMicrosoft社が開発した高機能のセンサーとAIを搭載したコンピューターです。頭に被って利用するヘッドマウントディスプレイと言われるタイプのコンピューターで、現実の視界にバーチャル空間の映像を重ね合わせて表示する事が特徴です。
類似の機能を有するものとしてはGoogleが開発したGoogle Glassがあげられます。2013年に発売されたGoogle Glassは、現実の空間の上にバーチャル映像を表示するAR(拡張現実)という技術を用い、現実とバーチャル空間の連携を実現させました。
ARを用いるという面では、このGoogle GlassもHoloLensも同じといえます。両者はMRを用いるかどうかという点で、技術的に大きく異なっています。
2.Mixed Reality(複合現実)の活用
HoloLensはMixed Reality‐MR 複合現実‐という技術も用いています。このMRは一見ARとよく似ていますが、現実の空間とバーチャル空間の関わり方において両者は異なっています。端的に表すと、
AR : 現実の空間の前に置かれた透明なスクリーンに映像を投影する技術
MR : 現実の空間をバーチャル空間に取り込んで相互に作用させる技術
となります。
例を挙げましょう。バーチャル映像の前に、現実の物体を置いた場合、ARでは現実の物体はバーチャル映像の後ろに隠れてしまう。一方、MRではバーチャル映像が現実の物体の背面に表示される。MRは現実の空間を認識してバーチャル空間に取り込むので、バーチャル空間上の物体が現実世界の物体と対応しているのです。
これによって、MRを利用すればバーチャル空間から現実へ指令を送る事が可能になります。例えば、スマート家電の操作を行うアプリケーションなどでは、照明を認識したHoloLensがバーチャル空間上にその照明の色と明るさを操作する画面を表示し、ユーザーが操作した通りに現実の照明が変わります。つまりこのアプリケーションは外部の現実の機械を操作できるということです。
これは、いわゆるIoT(モノのインターネット化)そのものといえます。MRは、じつはIoTのメインプレイヤーでもあるのです。ちなみにIoTも市場は、2021年には国内のみでも11兆円に達すると言われており、MRはマーケティング的にも注目の技術なのです。
3.新しいサービスの広がり
HoloLensは、従来とは形式や携帯の異なる新サービスの出現に寄与しています。
・建設業界
HoloLensを装着したユーザーに対して、建物の設計図を基に作成した3Dモデルを、現実の建設予定地や会議場のテーブルに表示するアプリケーションが開発されている。
・航空業界
HoloLensを付けて整備士や操縦士のシミュレーショントレーニングを行うアプリケーションが開発されています。
・イギリス警察
HoloLensを装着しながら、事件現場を撮影して情報や指示を3D空間上に直接書き込めるアプリケーションを試験運用中です。
・アメリカ航空宇宙局(NASA)
機械の設計や火星のシミュレーション、宇宙飛行士への指示などにHoloLensを利用している。
その他でも、エンターテインメントの分野でもLegendary Entertainment社では映画の開発にHoloLensを導入したと発表しています。
現実世界とバーチャル空間を連動させるこの技術は未だ模索段階にあるので、全く新しいサービスが生まれる余地が大きいと言えます。マーケティング的にも注目のテクノロジーです。