皆さんは、『著作権』についてどの程度ご存じでしょうか。
『著作権』とは財産権の一つであり、明確な形を持たないもの(例えば漫画やアニメ、映画や音楽、ゲームなど)に対して財産権を主張する権利です。
つまり、『この漫画や絵など私が作った物は、全部自分の作品だから勝手に使っては駄目だよ』と世間に認めさせる権利だと言えます。
皆さんがゲームの箱やパッケージとかを手に取った際、その何処かに『©』という記号があると思います。それは『コピーライトマーク』と呼ばれ、著作者が自分の作った作品であることをアピールし、著作権を主張する為の記号です。このように、著作権はあらゆる方法で主張され、私達の生活の中に存在しています。
では何故、この『著作権』という権利が誕生したのでしょうか。それは、作品の作り手の利益を守るためなのです。
以前、ニュースなどで話題となった『漫画村』という違法サイトが閉鎖されたのを覚えているでしょうか。
このサイトでは最新の漫画がネット上で公開され、しかも無料で閲覧できていました。しかし、日本漫画協会や漫画団体などがこのサイトを問題視し、政府に働きかけることで、『漫画村』へのアクセスが遮断されました。
勿論、これは無断で作品を公開したという著作権法違反であり、お金を払わず商品を買ったという、言わば『万引き』と同じ行為なのです。そんな事をし続ければ、漫画家などの作り手は作品を作り続ける事が出来ず、衰退の危険性があるのですから当然の判断といえます。著作権は作り手の権利を守る盾とも言える存在なのです。
但し、この著作権に関して、グレーゾーンとも呼べる事例がちらほら見かけられます。例えばその一つに、音楽のサンプリングに関しての著作権があります。
2003年、アメリカのとある音楽グループがラップソングを制作するため、あるレコード会社からフルート演奏が収録されたサウンド・レコーディングを使用しました。この時、会社には使用するためのお金(ライセンス料)を払っていたのですが、そのフルート演奏者には使用許可を貰っていなかった事が問題となり、フルート演奏者が音楽グループとレコード会社の著作権侵害を主張する裁判へと発展しました。
この裁判では、結果的に『著作権侵害はなかった』として、音楽グループが勝訴しました。しかし、ラップソングに使用されたフルートサウンドに『創作性が認められるか否か』という観点で、一審と控訴審で判断が分かれる結果となりました。この判例を理解するのには、『de minimis 法理』が重要になります。これは、法定で争いをするまでもないような些細な問題は取り上げないという法理であり、アメリカではすべての法分野で適応されています。控訴審では、この『de minimis 法理』に基づき、著作権侵害ではないという結果になったのです。
この事例で述べられる問題は『著作権の適応できる範囲はどこまでか?』という事で、受け取る側の考え一つで著作権は有効にも無効にもなるのです。そして、また裏を返せば『著作権を手厚くし過ぎてしまうと、新しい創作が生み出せない』という事にもなるのです。
作品を作る上で、どうしても他者の作品と被ってしまう時があります。例えば、『ロボット』というジャンルで挙げてみますと、『ガンダム』シリーズや『マクロス』シリーズ、更に細かい所で言いますと『ダンボール戦機』シリーズといった数多のロボット作品が誕生しています。
安易に似ているからと言って作品を非難するのは浅はかと言える事なのです。
作り手の利益を守る為に存在する『著作権』。何処までが守るべき部分で、何処までが許容するべき部分なのか。そのさじ加減を判断するのは難しい問題だといえます。
【参考ページ】
『サンプリングと著作権─裁判例2─ ~元ネタがわからないようなサンプリングでも違法なの?』
https://webtan.impress.co.jp/e/2018/04/26/28399
『著作権―ウィキペディア―』
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%91%97%E4%BD%9C%E6%A8%A9
『違法じゃないの?漫画村は閉鎖?どうなる海賊版サイトの行方』
http://ranq-media.com/articles/1470