消費者の購買心理プロセスには、消費者が商品やサービスを知ってから購入に至るまでの心理的なプロセスを表した「AIDMAモデル」や、AIDMAモデルにインターネットが持つ様々な効果を加味した「AISASモデル」があります。
そして近年新たに、ソーシャルメディアに特化した「SIPS」という行動理論が注目を集めています。
SIPSとは、
S:Sympathize(共感する)
I:Identify(確認する)
P:Participate(参加する)
S:Share&Spread(共有・拡散する)
で表されます。
具体的な例として、あるユーザーが、旅客鉄道会社がSNSに投稿した写真に心動かされ、現地に赴いた場合を想定すると、以下のようなプロセスになります。
SNSで思わず目を引く写真を見て「自分も写真を撮ってみたい」、「自分も体験してみたい」といった共感の気持ちが生まれ(Sympathize)→旅行に行くために、口コミサイトやレビューサイトを検索し(Identify)、→実際に旅客鉄道会社を利用して現地に赴き(Participate)→現地で写真を撮り、それをSNSに投稿する(Share&Spread)。
ポイントは、このユーザーの【SNSに投稿する(Share&Spread)】行動が、新たなユーザーの【Sympathize(共感する)】につながる点と、参加する(Participate)のステージでは、SNSでシェアする、チャンネル登録を行う、フォローする、話題に参加するなど、購買に至らないユーザーでも、話題の広がりに協力してくれる点です。
続いて、SIPSの活用事例を紹介します。
日本コカ・コーラ株式会社は、2018年に発売された新フレーバーに対し、①広報活動にTwitterを活用、②発売前にフレーバーの内容を明かさず、ユーザーの興味を掻き立てる、③リツイートと応募フォーム入力で発売前に商品をプレゼントするといった内容のキャンペーンを行いました。
これをSIPSにあてはめて考えると、
「新しいフレーバーっていったい何だろう?」とユーザーの興味を喚起し(Sympathize)→商品やキャンペーン内容について、自分に有益かどうか判断し(Identify)→公式アカウントに対してリツイートやいいねをしたり、応募することでキャンペーンに参加し(Participate)→もしキャンペーンに当選したら結果をツイートする(Share&Spread)となります。
規模の大小はあるかと思いますが、今後もこういったユーザー参加型のプロモーションは増えていくと思われます。
インターネットマーケティングではユーザーの行動理論を理解したうえで、検証・分析することが重要であり、特にソーシャルメディア特有の「参加」や「共感」といったキーワードは、これからも益々重要になってくると予想されます。
【参考ページ】
SIPS
https://www.synergy-marketing.co.jp/glossary/sips/
世界初登場、"もも"香る「コカ・コーラ」!「コカ・コーラ ピーチ」1月22日から期間限定発売
https://www.cocacola.co.jp/press-center/news-20180110-14-1
「コカ・コーラ ピーチ」のTwitter活用に学ぶ!SNS時代の購買モデル「SIPS」
https://ferret-plus.com/9940