今回のテーマはDX(デジタルトランスフォーメーションDigital Transformation ※英語圏では、「Trans」を「X」と略す)です。
経済産業省ではDXを、次のように定義しています。
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」
DXとは、単なるIT化とは異なります。IT化とは、主にアナログ技術をIT技術やデジタル技術を用いてデジタル化し、効率化や能率化を図るものです。IT化の目的が業務の効率化であるのに対し、DXとは、IT技術やデジタル技術を用いて、製品・サービス・ビジネスモデル・組織など、企業に関わる様々なものを変革し、競争上の優位性を確立することを目的としています。IT化は量的変化であるのに対し、DXは質的変化であると分析する専門家もいます。
以下に、DXの成功事例を挙げます。
大塚製薬と日本IBMの共同出資会社「大塚デジタルヘルス」は、精神科病院の電子カルテデータを分析し、症例検索や投薬履歴などをデータベース化することに成功しました。従来、精神科のカルテは医師による自由記述が主なため、患者の病状や病歴、投薬結果を数値化することが困難であり、情報共有という点で課題を抱えていました。そこで、IT企業と共同開発した人工知能(Watson)で言語解析し、データベース化を行いました。
また、蜂蜜ローヤルゼリー・プロポリス等の製品や化粧品の製造・販売を行う「株式会社 杉養蜂園」は、これまで顧客情報を2人がかりで手入力していましたが、DX推進により、2人で行っていた業務のうち1人分をAI-OCRに置き換えることにしました。(OCRとは手書きや印刷された文字をスキャナやデジタルカメラによって読みとり、コンピュータが利用できるデジタルの文字コードに変換する技術を指します。AI-OCRは自動学習するOCRです。)結果、業務に関わる人員と時間の削減に成功し、空いたリソースを活用して、分析専門部署を設置するに至りました。
IT化の目的のすべてがDX化ではありません。しかし、人力よりも高度に分析することが可能な技術の導入により、新たな知見を獲得できたという成功事例も報告されており、組織やビジネスモデルを改革していくことを目的とするDXは、今後ますます重要となってくるキーワードです。
【参考ページ】
経済産業省 デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン
https://www.meti.go.jp/press/2018/12/20181212004/20181212004-1.pdf
DOORS 「DX=IT活用」ではない!正しく理解したいDXの意義と推進のポイント
https://www.brainpad.co.jp/doors/practice/dx_it/
LISKUL DXの推進事例20選から見えた、成功のための4つのポイント
https://liskul.com/digital-transformation-43215
DX Suite 株式会社 杉養蜂園
https://dx-suite.com/casestudy/2020/01/22/uservoice019
メディアドライブ OCRとは
https://mediadrive.jp/technology/ocr