オリンピックのプレゼンと選挙演説に共通するもの
五輪招致IOC総会が 9月7日ブエノスアイレス で開催され 2020年五輪は東京に決定した。 長年の準備と最終プレゼンの出来が評価につながったと言われている。発表者は、高円宮妃久子様、安倍晋三首相、猪瀬直樹東京都知事、竹田恒和招致委員会理事長、アスリートの佐藤真海選手や太田雄貴選手、アナウンサーの滝川クリステルなどである。情緒に訴え、画像やデータを織り込んだ極めて巧みなプレゼンであった。特筆すべきは日本人が一番苦手とする外国語で全員が話したことだ。 発表順が工夫され、発話者の内容も各自の特徴を生かした素晴らしいものであった。 英国人コンサルタントの経験豊かなアドバイスが功を奏したと言われている。国際社会では、これまで残念ながら日本人の英語によるスピーチやプレゼンを見聞きする機会は極めて少なかったので、今回のプレゼンの勝利は「日本人だってやればできるんだ!」という大きな心理的影響を与えたのではないだろうか?今後はビジネスにおけるプレゼンにも更に関心が向けられると思われる。
五輪招致のプレゼンでは「東京」を売り込んでいたが、私が聞き手として体験した選挙では「人」を売り込む戦いであった。応援しているK市会議員が地元の八王子から昨年12月の都議補欠選挙(衆議院選挙も同時開催)に出て当選し、続いて今年6月の都議戦で再選され、更に7月の参議院選は応援側にまわったが、私は3つの選挙を通して様々な演説を聞くことができた。選挙では先ず、事務所開きが神式で行われる。狭い事務所に立候補者と後援会、地元の国会議員、市長、都議会や市議会議員達が100人ほど集まり、皆、熱く語る。1週間ほどして出陣式がくる。出陣式は公示や立候補の届出のあとに行うもので、選挙や政権の将来を占う重要な儀式だ。だから都議会議員選挙にも関わらず安倍総理や麻生副総理を初め、石破党幹事長、甘利経済再生担当大臣、石原環境大臣や人気の小泉青年局長が駅前などで熱弁を振っていた。更に投票1週間前には総決起大会が開催される。昨年12月の衆議院選では前回落選した地元の萩生田光一氏が立候補し当選するが、有名評論家の桜井よしこ氏が応援演説をした。また、6月の都議選にはK都議のために下村文科大臣や細田党幹事長代行が応援演説をし、7月の参議院選では、二期を目指す丸川珠代氏を稲田内閣府特命大臣、他の国会議員などが熱心に応援していた。今回、これ以外に小規模な選挙演説会なども含めてほぼ全ての選挙演説を聞いて分かったことがある。それは政治家は何も資料を見ないで話していたことだ。立候補者は自分を売り込み、応援者は応援演説をする。何度も話しているうちに全部覚えてしまうようだ。候補者の演説の方法は様々だが、皆、話がうまい。更に演説会場は後援者を動員し満席にして非常に盛り上がる。オリンピックのプレゼンと選挙演説に共通するものは、次が無い「必死さ」であった。