コラムの趣旨
ネットマーケティング検定公式テキストの著者による情報コラムです。
公式テキストでは紹介しきれないインターネットマーケティングに関する最新のトピックスについて、情報や解説などをお届けします。
本試験の事例問題でも取り上げられることの多い、インターネットビジネスの最前線について、マーケティングの視点から掘り下げていきたいと思いますので、ご参考になれば幸いです。
著者プロフィール
藤井 裕之(フジイ ヒロユキ)
ネットマーケティング検定公式テキスト[インターネットマーケティング基礎編]著者。株式会社ワールドエンブレム代表取締役。1998年、早稲田大学卒業後、三菱電機株式会社入社。火力発電所プラントの海外輸出部門に所属。2006年、独立しICTコンサルティング会社(現ワールドエンブレム株式会社)を設立。インターネットマーケティング、システム開発、Web開発、セキュリティ監査、IT統制、ITガバナンス等の事業を展開。会社経営の傍らロースクール夜間部を卒業(法務博士)。2010年、株式会社コンプライアンス・コミュニケーションズ代表取締役に就任。
第2回 AIブーム今昔
人の「考える」といった知的な機能を搭載した技術「AI(ARTIFICIAL INTELLIGENCE)」により、世の中が大きな変化を迎えようとしています。
今や、AIや人工知能といったキーワードを聞かない日はないように思えますが、それは、それほどこの技術が世間に浸透しつつあるからでしょう。
今回は、過去に何度か発生した「人工知能ブーム」について紹介したいと思います。
1957年、米国の心理学者フランク・ローゼンブラット(Frank Rosenblatt)は「パーセプトロン(Perceptron)」を考案しました。パーセプトロンとは視覚と脳の機能をモデル化してパターン認識を行うものであり、ネットワーク化により学習能力を持たせる事ができる機能です。これが1960年代に第一次人工知能ブームを巻き起こしました。
しかし、当時としては画期的だったパーセプトロンも、マービン・ミンスキー(Marvin Minsky)によって線形分離可能なものしか学習出来ない脆弱性を証明され、その後人工知能研究は下火となってしまいました。
以後、第二次人工知能ブーム時の1986年、デビッド・ラメルハートとジェフリー・ヒントン、ロナルド・ウィリアムズらが、D.E.Rumelhart, G.E.Hinton, R.J.Williams, "Learning representations by back-propagating errors". Nature 323 (6088): 533–536において多層ANNにおける出力誤差の発散問題を回避するバックプロパゲーション・アルゴリズムを提唱した際に脚光を浴びましたが、膨大な計算時間がかかる事がネックとなり、多くの研究社がANN研究を諦めていったのです。
こうした閉塞的状況を打破したのが、この10年ほどの間、ゲーム市場のニーズにより、全く別の目的のために開発され続けてきたハイエンドのGPU(Graphical Processing Units)の登場です。
そもそも従来使われていたCPU(Central Processing Unit)はアーキテクチャ上、少数のコアから構成されており、そのため同時に実行可能なスレッドも少数に限定されてしまうものでした。
しかしGPUは、3DCG処理をリアルタイムに行なう等のヘビーな設計要件から、シェーディング等の定型処理に特化したプログラマブルな演算ユニットを多数搭載しており、同時に実行可能なスレッド数は数千に達します。アーキテクチャ上、GPUは ニューラルネットの大規模計算を実装する目的に適していたのです。
これらの開発者や研究者らの目覚ましい研究成果を見たGoogle社は、2014年、ジェフリー・ヒントンら及びその共同研究者たちを軒並ヘッドハンティングし、彼等の研究成果を自社のサービスに取り込んで、無人自家用車を完成させました。
現在はまさに「第三次AIブーム」と言っても過言ではありません。
今後も、技術革新によるテクノロジーの発展に期待をせずにはいられないでしょう。
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