「現代のビジネスシーンにおいては、著作権の知識は不可欠である」という命題に異論を唱える方はいないでしょうか。ただし、これまではその意味を「うっかり他人の著作権を侵害しないために著作権の知識を身につけるべき」との、どちらかというと「防御」の観点で説明されてきた印象を受けます。
しかし、著作権は守りのツールではありません。より積極的に攻めのツールとして活用すべきものなのです。魅力ある著作権物(コンテンツ)は時を超え、国境を越えて愛され続けます。そのコンテンツから利益を生み出し、剽窃から守る源こそ著作権なのです。著作権を正しく理解し、適切な契約を関係者と結び、デジタルコンテンツならば適切なDRM(著作権管理技術)を選択して流通させることが重要です。
一方で、著作権は著作物を生み出さない立場であっても重要な知識です。例えば、各種イベントのために外部のデザイナーが創作した「キャラクター」を利用しようとした場合に、利用方法を踏まえた契約を締結することが担当者には求めされていますし、契約の範囲を超えた利用をしていないかを判断できなければなりません。また、昨今盛んになっている「地域のブランド化」を支える「地域コンテンツ」も、その土台は著作権が中心となります。
3月の休日、国立文化博物館で開催中の「マチュピチュ『発見』100年インカ帝国展」に行ったのですが、見終わってロビーに戻ったときに、若い男性から声を掛けられました。数人のグループで来ていた大学4年生だそうです。私のことを知っていて、自ずと著作権の話になりました。
彼は大学で著作権法について勉強して、その知識を生かす職業に就こうと就職活動をしたものの、全く別の職種で採用されることが決まったと言っていました。そう聞いて、20分ほども立ち話をしました。
著作権の知識を生かしたいと思ったのに、それが適わなかったと言うのですが、就職して企業に入れば、今やどんな業種であれ著作権に関する知識は求められます。営業職であれば、例えば新聞に掲載された自社製品の紹介記事をコピーして顧客に配っていいのかといった問題に直面するでしょうし、プレゼン資料に使う写真やイラストをインターネットから探してきて使っていいのか、といったことに気を配る必要もあるでしょう。研究職や開発職でも同様で、特許権だけでなく、著作権についても留意することが必要です。他人の著作権を侵害しないようにすると同時に、自分や自社が持つ著作権をどう保護しながら活用するか、といったことも考える必要があるのです。
その彼には、ぜひ著作権の勉強は続けて欲しいと伝えました。既に基礎的な知識はあるとのことだったので、「ビジネス著作権検定」上級の受検を奨めました。
何ごとにおいても同じだと思いますが、勉強を続けていればチャンスがあると思います。勉強を続けていればこそ、チャンスが来たときに、それがチャンスだと分かり、対応もできるはずです。特に著作権については、どんな業種でも必ず求められている知識です。ぜひ、皆さんも、「ビジネス著作権検定」の受検を通して、しっかりとした著作権知識を身に付けて欲しいと思います。
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