「現代のビジネスシーンにおいては、著作権の知識は不可欠である」という命題に異論を唱える方はいないでしょうか。ただし、これまではその意味を「うっかり他人の著作権を侵害しないために著作権の知識を身につけるべき」との、どちらかというと「防御」の観点で説明されてきた印象を受けます。
しかし、著作権は守りのツールではありません。より積極的に攻めのツールとして活用すべきものなのです。魅力ある著作権物(コンテンツ)は時を超え、国境を越えて愛され続けます。そのコンテンツから利益を生み出し、剽窃から守る源こそ著作権なのです。著作権を正しく理解し、適切な契約を関係者と結び、デジタルコンテンツならば適切なDRM(著作権管理技術)を選択して流通させることが重要です。
一方で、著作権は著作物を生み出さない立場であっても重要な知識です。例えば、各種イベントのために外部のデザイナーが創作した「キャラクター」を利用しようとした場合に、利用方法を踏まえた契約を締結することが担当者には求めされていますし、契約の範囲を超えた利用をしていないかを判断できなければなりません。また、昨今盛んになっている「地域のブランド化」を支える「地域コンテンツ」も、その土台は著作権が中心となります。
ある大学で「デジタル著作権」の講義を担当しています。先日、受講した学生に、期末テストに代わるレポートの提出を求めました。
出題テーマは、巷で報じられている著作権に関するニュースや授業で取り上げた話題を選択し、その上で
1.そのニュース・話題の概要
2.そのニュース・話題は著作権法のどの分野が問題になっているか
3.その問題について著作権法上ではどのように評価できるか、あるいは、どのような解決策があるか
4.その問題についてどう思うか
5.本講義を受けての感想
の5 点を含むこと、としました。
レポートを書くために当然自分で調べ、考え、そして意見をまとめる作業は、「著作権法と社会」を考えるのみならず学生としてもっとも重要だと考えるからです。
提出されたレポートには、自分の意見になっていないレポートも散見されましたが、全てのレポートを読み終えました。この大学での講義は教養科目として位置づけられており、著作権に関する基礎的なことを説明しています。
一方、このビジネス著作権検定は、名称の通り、著作権と著作隣接権に関するビジネスの世界で活躍するためのスキルを身につけるためのものです。
では、ビジネスで活躍するためのスキルとは何か、実はテキストの冒頭に5つをあげているのですが、改めて示しておきます。
1.現在の「法律ルール」を知ること。
2.「法律ルール」の改良点を検討すること。
3.「契約・ビジネス」をすること。
4.「司法制度」を活用すること。
5.「国際的な問題」に対応すること。
著作権法も法律である以上、まず条文を確認し理解することが大切です。大学の講義では最後に具体例を ○×クイズによって理解度をチェックしました。その結果、レポートでは、条文に立ち返ってしっかり読み考えた人は問題意識も明確で質の良い答案になっていました。検定の勉強をする際にも、常に条文を読むようにしてください。
(2)~(5)については、実務を通じて学ぶことが多いかも知れません。それでも、検定に合格するために勉強した知識は、ビジネスや社会生活を送る上で大いに役立つことでしょう。
このビジネス著作権検定では、上に書いた5点のビジネススキルを身につける基礎になるよう設計しています。ぜひ、しっかり勉強して検定にトライしてみてください。
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