「現代のビジネスシーンにおいては、著作権の知識は不可欠である」という命題に異論を唱える方はいないでしょうか。ただし、これまではその意味を「うっかり他人の著作権を侵害しないために著作権の知識を身につけるべき」との、どちらかというと「防御」の観点で説明されてきた印象を受けます。
しかし、著作権は守りのツールではありません。より積極的に攻めのツールとして活用すべきものなのです。魅力ある著作権物(コンテンツ)は時を超え、国境を越えて愛され続けます。そのコンテンツから利益を生み出し、剽窃から守る源こそ著作権なのです。著作権を正しく理解し、適切な契約を関係者と結び、デジタルコンテンツならば適切なDRM(著作権管理技術)を選択して流通させることが重要です。
一方で、著作権は著作物を生み出さない立場であっても重要な知識です。例えば、各種イベントのために外部のデザイナーが創作した「キャラクター」を利用しようとした場合に、利用方法を踏まえた契約を締結することが担当者には求めされていますし、契約の範囲を超えた利用をしていないかを判断できなければなりません。また、昨今盛んになっている「地域のブランド化」を支える「地域コンテンツ」も、その土台は著作権が中心となります。
ファイル共有ソフト「Winny」の開発が著作権法違反のほう助罪に問われた裁判で、大阪高等裁判所は、開発者に無罪の判決を言い渡しました。新聞、ニュース等で大きく報道されたので、記憶に残っていると思います。その後、検察は上告し、これからACCSも注視していきますが、忘れてはならいのは、ユーザーがWinnyのほか、Share、Limewire、Cabosといったファイル共有ソフトを使って、他人の著作物を勝手にアップロードする行為は明白な著作権侵害に当たるということです。今回は、Winnyに関連する他の動きを紹介します。
皆さんは、「マジコン」と呼ばれる機器をご存知でしょうか。ニンテンドーDSで正規品でないゲームソフトを稼働させる機器のことです。ファイル共有ソフトなどを使ってタダで入手したゲームソフトをニンテンドーDSで遊ぶために使います。 このマジコンについて、任天堂とゲームソフトメーカー54社が共同で、多数のマジコン販売業者に対して民事訴訟を起こしました。不正競争防止法に基づく、マジコンの輸入・販売の差し止めと損害賠償を求めたものです。この訴訟は10月に起こされましたが、以前にも同様の訴訟があり、任天堂側の主張が全面的に認められる判決が今年2月に言い渡されています。一部のマジコンの販売は違法であると判決があったにも関わらず、後を絶たないのです。
ゲームソフトを、ファイル共有ソフトやWebサイトに著作権者の許諾なくアップロードすることは違法ですが、ダウンロードのみを行うことは、私的使用の範囲であれば今のところは違法ではありません(著作権法30条)。しかし、前回のコラムで詳述したとおり、2010年1月1日から施行される改正著作権法によって、違法にアップロードされた映像や音楽などを、それと知ってダウンロードしてコピーを作ることは、違法になります。つまり、マジコンを使って遊ぶためにゲームソフトをダウンロードすることは、来年1月からは違法になるということです。
このように、我々の生活に直接関わる著作権法はメディアやネットワーク技術等の進歩に合わせ、毎年のように改正されています。基礎を学ぶとともに、常に知識をアップデートする必要があるのです。さらに、法が変わればそれに伴い著作権ビジネスも変わります。そういった変化に対応するためにもビジネス著作権検定で腕試しをしてみてはいかがでしょうか?
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