「現代のビジネスシーンにおいては、著作権の知識は不可欠である」という命題に異論を唱える方はいないでしょうか。ただし、これまではその意味を「うっかり他人の著作権を侵害しないために著作権の知識を身につけるべき」との、どちらかというと「防御」の観点で説明されてきた印象を受けます。
しかし、著作権は守りのツールではありません。より積極的に攻めのツールとして活用すべきものなのです。魅力ある著作権物(コンテンツ)は時を超え、国境を越えて愛され続けます。そのコンテンツから利益を生み出し、剽窃から守る源こそ著作権なのです。著作権を正しく理解し、適切な契約を関係者と結び、デジタルコンテンツならば適切なDRM(著作権管理技術)を選択して流通させることが重要です。
一方で、著作権は著作物を生み出さない立場であっても重要な知識です。例えば、各種イベントのために外部のデザイナーが創作した「キャラクター」を利用しようとした場合に、利用方法を踏まえた契約を締結することが担当者には求めされていますし、契約の範囲を超えた利用をしていないかを判断できなければなりません。また、昨今盛んになっている「地域のブランド化」を支える「地域コンテンツ」も、その土台は著作権が中心となります。
今年は、山の中の改装した古民家に、東京の企業が続々とサテライトオフィスを開設して進出している徳島県神山町に行ってきました。
地方が抱える問題は多岐にわたりますが、情報発信力の弱さもその問題の一つでしょう。情報発信力が高ければ、観光客も来るし物産も売れるし、交流人口が増加し定住者も増えるのです。そのことを、神山町に行って実感しました。料理のつまものとして葉っぱをビジネスに変えた上勝町は神山町の隣ですが、この両町は、過疎高齢化が進んだ山の中にあって、人口の社会増を数年続けて実現しているのです。
実際に神山町では、サテライトオフィス構想以前から、空き民家の情報やイベントなどのポータルサイトを運用していました。上勝町では、都会からの移住者が次々とブログで情報を発信し、最近では動画を使った番組まで制作しています。こうしたインターネット上の新しい技術やサービスを使った情報発信に取り組んできたのです。
25年にわたり著作権を保護する活動をしてきて思うことは、著作物は情報そのものだということです。地域の課題を情報発信で解決するために、文化や食など地域固有の情報を、ブログや動画などでもっと発信するべきなのです。そのとき、情報は著作物そのものですから、地域の情報発信においても、著作権の知識は必須です。
平成26年4月より、ビジネス著作権検定試験「初級」よりもさらに基礎的な内容となる「BASIC」がスタートしています。高校生や専門学校生、社会人など幅広く著作権を勉強し、受験してほしいと思っています。
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