「現代のビジネスシーンにおいては、著作権の知識は不可欠である」という命題に異論を唱える方はいないでしょうか。ただし、これまではその意味を「うっかり他人の著作権を侵害しないために著作権の知識を身につけるべき」との、どちらかというと「防御」の観点で説明されてきた印象を受けます。
しかし、著作権は守りのツールではありません。より積極的に攻めのツールとして活用すべきものなのです。魅力ある著作権物(コンテンツ)は時を超え、国境を越えて愛され続けます。そのコンテンツから利益を生み出し、剽窃から守る源こそ著作権なのです。著作権を正しく理解し、適切な契約を関係者と結び、デジタルコンテンツならば適切なDRM(著作権管理技術)を選択して流通させることが重要です。
一方で、著作権は著作物を生み出さない立場であっても重要な知識です。例えば、各種イベントのために外部のデザイナーが創作した「キャラクター」を利用しようとした場合に、利用方法を踏まえた契約を締結することが担当者には求めされていますし、契約の範囲を超えた利用をしていないかを判断できなければなりません。また、昨今盛んになっている「地域のブランド化」を支える「地域コンテンツ」も、その土台は著作権が中心となります。
3月に行われた文化審議会著作権分科会で、違法ダウンロードが刑事罰の対象となって以降の実態や、正規コンテンツの流通への影響などについて報告が行われました。報告書の内容については、文部科学省のWebサイトに掲載されているので検索して見ていただくとして、この報告が行われた背景をご存じでしょうか。
これは、違法ダウンロードが刑事罰の対象となった2012年10月の著作権法改正の際に、附則で、国民に対する違法ダウンロード防止に関する啓発とともに、必要な措置を講じるようにと規定されていたことに依ります。
この附則では、「国及び地方公共団体は、未成年者があらゆる機会を通じて特定侵害行為の防止の重要性に対する理解を深めることができるよう、学校その他の様々な場を通じて特定侵害行為の防止に関する教育の充実を図らなければならない。」との条文もあります。
これを受けてACCSでも、先生向けの新聞各誌や、教育系の月刊誌などにレクチャーを行い寄稿もしました。また、学校やPTA連合会などでの講演を通じて、違法ダウンロードの刑事罰化の説明も行いました。
一方で、ACCSでは、違法ダウンロード刑事罰化の前から、「ファイル共有ソフトを悪用した著作権侵害対策協議会(CCIF)」に参加して、ファイル共有ソフトのネットワークに著作権侵害コンテンツを公開しているユーザーに対して、個別にファイルを削除するよう啓発メールを送付する活動を行っています。
私は、CCIFFの会長代理の立場にもあります。マスメディアを通じた啓発も大事なことですが、こうした個々のユーザーにメールを送るという活動を、業界をあげてコツコツと行っているということをぜひ知っておいて下さい。
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