「現代のビジネスシーンにおいては、著作権の知識は不可欠である」という命題に異論を唱える方はいないでしょうか。ただし、これまではその意味を「うっかり他人の著作権を侵害しないために著作権の知識を身につけるべき」との、どちらかというと「防御」の観点で説明されてきた印象を受けます。
しかし、著作権は守りのツールではありません。より積極的に攻めのツールとして活用すべきものなのです。魅力ある著作権物(コンテンツ)は時を超え、国境を越えて愛され続けます。そのコンテンツから利益を生み出し、剽窃から守る源こそ著作権なのです。著作権を正しく理解し、適切な契約を関係者と結び、デジタルコンテンツならば適切なDRM(著作権管理技術)を選択して流通させることが重要です。
一方で、著作権は著作物を生み出さない立場であっても重要な知識です。例えば、各種イベントのために外部のデザイナーが創作した「キャラクター」を利用しようとした場合に、利用方法を踏まえた契約を締結することが担当者には求めされていますし、契約の範囲を超えた利用をしていないかを判断できなければなりません。また、昨今盛んになっている「地域のブランド化」を支える「地域コンテンツ」も、その土台は著作権が中心となります。
最近、学校で著作権や情報モラルについて話をする機会がよくあります。先日は、徳島県を拠点に活動しているNPO法人学校ICTサポーターズの依頼を受けて、阿南工業高等専門学校で講演を行ってきました。当日、学校に着いたのがちょうど学生が帰宅する時間帯で、学生たちが次々に「こんにちは」と挨拶してくれたのが印象的でした。
講演の対象は、プログラム同好会のメンバーと数名の先生、さらに地元の青年会議所の会長ら約20人。テーマは、著作権と情報モラルでした。講演中に質問を投げてみると、積極的に手が挙がりました。また、同行してくれた学校ICTサポーターズのメンバーが一番後ろの席で話をしはじめると皆が一斉に後ろを向き、注目するのです。挨拶ができていることも含めて、ここの学生たちがとてもよい教育を受けていることを実感しました。
質疑応答も活発で、講演が終わってからも個別で質問を受けました。プログラム同好会のメンバーで、将来はスマホ用アプリを含めてプログラムで生計を立てようという学生たちが著作権について高い関心を持っていることが分かり、うれしくなりました。
事実、スマホ用アプリやゲームの開発、Webをはじめとするデザインには、著作権が関わってきます。また、レポートの執筆やデジカメでの撮影、ブログの原稿も全て著作権が関わります。他人の著作権を侵害しないようにするためだけでなく、自分が生み出す作品の著作権を守り活用するためにも、まずは知識が必要です。
ビジネス著作権検定の次回の試験は、11月15日です。誰もが著作物に触れ、著作物を生み出せる時代。就職して仕事をする上で、著作権の知識は今や欠かすことができません。検定試験を目標に、ぜひ、著作権の勉強を始めて下さい。
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