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委員長メッセージ・コラム

委員長プロフィール 久保田 裕

  • 一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会 専務理事・事務局長
  • 山口大学客員教授
  • 文化審議会 著作権分科会 臨時委員
  • 文化審議会 著作権分科会 法制・基本問題小委員会 専門委員
  • 文化審議会 著作権分科会 国際小委員会 専門委員
  • 公益社団法人著作権情報センター 理事
  • 特定非営利活動法人 全国視覚障害者情報提供施設協会 理事
  • 特定非営利活動法人 ブロードバンドスクール協会 情報モラル担当理事

「現代のビジネスシーンにおいては、著作権の知識は不可欠である」という命題に異論を唱える方はいないでしょうか。ただし、これまではその意味を「うっかり他人の著作権を侵害しないために著作権の知識を身につけるべき」との、どちらかというと「防御」の観点で説明されてきた印象を受けます。
しかし、著作権は守りのツールではありません。より積極的に攻めのツールとして活用すべきものなのです。魅力ある著作権物(コンテンツ)は時を超え、国境を越えて愛され続けます。そのコンテンツから利益を生み出し、剽窃から守る源こそ著作権なのです。著作権を正しく理解し、適切な契約を関係者と結び、デジタルコンテンツならば適切なDRM(著作権管理技術)を選択して流通させることが重要です。
一方で、著作権は著作物を生み出さない立場であっても重要な知識です。例えば、各種イベントのために外部のデザイナーが創作した「キャラクター」を利用しようとした場合に、利用方法を踏まえた契約を締結することが担当者には求めされていますし、契約の範囲を超えた利用をしていないかを判断できなければなりません。また、昨今盛んになっている「地域のブランド化」を支える「地域コンテンツ」も、その土台は著作権が中心となります。

■ サーティファイ委員長コラム Vol.23

ご存じの通り、著作権は、プロが生み出した作品だけを保護するものではありません。ブログの文章、デジカメ写真、音楽などは、それが誰が創作したものであっても著作権は発生します。昨今、著作物がデジタルデータで生み出されるようになり、また、誰もが著作物を簡単に創作できるようになって、ネットに流通している著作物の著作者が誰なのか分かりにくくなりました。

もちろん、誰が生み出した著作物であっても、それを勝手にコピーして利用したりネットにアップロードすれば、著作権を侵害することになります。コピーしたりアップロードして使いたければ、著作権者の許諾を得なければなりません。ところが、許諾を得ようにも、誰が著作権者か分からず許諾がとれないという問題が、これから頻発することが予想されています。

ツイッターやFacebookにアップロードされた写真は、リツイートやシェアされただけであればオリジナルは特定できるでしょう。でも、リツイートやシェアの過程で、誰かが自分のものとしてアップロードし直してしまえば(その行為は違法だとしても)、その著作物を使おうとする人から見れば、どちらがオリジナルであるかを判断することは難しくなります。

一方でこのことは、著作者が、勝手に使われた著作物について権利主張することが難しくなることをも意味します。というのも、例えばネットにアップロードした写真の著作権が自分にあることを証明することもまた、とても難しいからです。

著作権法では第14条で著作者の推定規定を設けており、著作物の原作品に著作者名が表示されていれば、著作者であると推定されるとしています。であれば、著作者が権利主張するためには、まずは著作者表示が必須ということになります。ただ、デジタルであるために加工や改変が簡単にできることを考えると、著作者であることを表示し推定されるとしても、当該表示自体が改変されてしまう問題は消えません。

この問題は、どうすれば解決できるでしょうか。(続く)

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