「現代のビジネスシーンにおいては、著作権の知識は不可欠である」という命題に異論を唱える方はいないでしょうか。ただし、これまではその意味を「うっかり他人の著作権を侵害しないために著作権の知識を身につけるべき」との、どちらかというと「防御」の観点で説明されてきた印象を受けます。
しかし、著作権は守りのツールではありません。より積極的に攻めのツールとして活用すべきものなのです。魅力ある著作権物(コンテンツ)は時を超え、国境を越えて愛され続けます。そのコンテンツから利益を生み出し、剽窃から守る源こそ著作権なのです。著作権を正しく理解し、適切な契約を関係者と結び、デジタルコンテンツならば適切なDRM(著作権管理技術)を選択して流通させることが重要です。
一方で、著作権は著作物を生み出さない立場であっても重要な知識です。例えば、各種イベントのために外部のデザイナーが創作した「キャラクター」を利用しようとした場合に、利用方法を踏まえた契約を締結することが担当者には求めされていますし、契約の範囲を超えた利用をしていないかを判断できなければなりません。また、昨今盛んになっている「地域のブランド化」を支える「地域コンテンツ」も、その土台は著作権が中心となります。
インターネットを悪用した著作権侵害事件と言っても、内容はさまざまな形態があります。まず、複製権侵害となる形態だと、Webサイトで集客して海賊版をフロッピーディスクやCD-Rで販売する形態が1990年代末頃から見られるようになりました。メールでWebサイトに誘導する場合もありました。
次にオークションサイトを悪用して海賊版を販売する形態です。これに対しては、摘発が行われる一方、ヤフーオークションなど大手事業者と協力して、明かな違法出品を削除したり、出品者に警告するような活動も行っています。その結果、現在では2000年代前半に比べて海賊版の出品も減少しましたし、摘発件数は減りました。それでも、携帯電話用のオークションサイトも含めて、根絶までには至っていません。
複製権侵害のほかに、インターネットの普及とともに蔓延したのが、公衆送信権侵害に当たる事案です。海賊版をWebサイトにアップロードしてダウンロードできるようにした事案が見られるようになったのが2000年頃。動画投稿サイトへの違法アップロードも問題になっています。さらに、今日に至るまで問題になっているのが、ファイル共有ソフトを使った違法アップロードです。
ファイル共有ソフトは、中心となるサーバーを介すことなく、個々のコンピュータが個別に通信をしてファイルをやり取りするP2Pという技術をベースにしています。WinMXというソフトが2000年頃に登場しました。続いて、匿名性を高めた、Winny、Shareなどが主流になります。Cabos、LimeWireといったソフトもあります。
いずれにしても、こうしたソフトで共有されているのは、多くが、音楽や動画、ゲームやビジネスソフトなど既存の著作物です。極めて多くの種類の著作物が、大量に共有されている現状があります。
一方、CDやDVDにコピーされた海賊版を業者が販売する形態は1990年代前半に撲滅されたと思われていましたが、2000年代以降、大都市の繁華街や電気街などでゲリラ的に販売されている場合があります。こうした販売形態は組織的に行われ、暴力団が関係している場合もあるようです。
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