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委員長メッセージ・コラム

委員長プロフィール 久保田 裕

  • 一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会 専務理事・事務局長
  • 山口大学客員教授
  • 文化審議会 著作権分科会 臨時委員
  • 文化審議会 著作権分科会 法制・基本問題小委員会 専門委員
  • 文化審議会 著作権分科会 国際小委員会 専門委員
  • 公益社団法人著作権情報センター 理事
  • 特定非営利活動法人 全国視覚障害者情報提供施設協会 理事
  • 特定非営利活動法人 ブロードバンドスクール協会 情報モラル担当理事

「現代のビジネスシーンにおいては、著作権の知識は不可欠である」という命題に異論を唱える方はいないでしょうか。ただし、これまではその意味を「うっかり他人の著作権を侵害しないために著作権の知識を身につけるべき」との、どちらかというと「防御」の観点で説明されてきた印象を受けます。
しかし、著作権は守りのツールではありません。より積極的に攻めのツールとして活用すべきものなのです。魅力ある著作権物(コンテンツ)は時を超え、国境を越えて愛され続けます。そのコンテンツから利益を生み出し、剽窃から守る源こそ著作権なのです。著作権を正しく理解し、適切な契約を関係者と結び、デジタルコンテンツならば適切なDRM(著作権管理技術)を選択して流通させることが重要です。
一方で、著作権は著作物を生み出さない立場であっても重要な知識です。例えば、各種イベントのために外部のデザイナーが創作した「キャラクター」を利用しようとした場合に、利用方法を踏まえた契約を締結することが担当者には求めされていますし、契約の範囲を超えた利用をしていないかを判断できなければなりません。また、昨今盛んになっている「地域のブランド化」を支える「地域コンテンツ」も、その土台は著作権が中心となります。

■ サーティファイ委員長コラム Vol.20

会社では、営業で使用する参考資料や会議資料として、新聞や雑誌の記事をコピーしたいという場合があります。新聞や雑誌の記事のほとんどは著作物に当たり、これらをコピー(複製)することを著作権者の許諾を得ずに行えば、原則として複製権(著作権法21条)の侵害となります。ただ、新聞や雑誌の記事については、日本複製権センター( http://www.jrrc.or.jp )などと契約することで、包括的な利用許諾が得られる仕組みが整えられています。

コピーできるのは小部分、少部数に限られていますが、まず、会社が日本複製権センターと契約しているかどうかを確認して、さらに、コピーしたい新聞社や雑誌社が日本複製権センターに加盟しているかどうかを調べて、コピーができるかどうか確認してください。

紙のコピーではなく、記事をスキャンしたり写真に撮ったりしてWebサイトなどに掲載することも、著作権者に許諾なく行えば違法です。スキャンや撮影は複製権の侵害になりますし、Webサイトにアップロードすることは公衆送信権(23条)の侵害に当たります。なお、雑誌などの記事を社内LANにアップロードして掲載することは、同じ建物内(同一構内)の社内LANである場合は公衆送信に当たりません(2条1項7号の2)。しかし、本支店間など離れた建物を結んだ社内LANや、社外からアクセスすることが可能な社内LANの場合は、同一構内には当たりませんので、公衆送信に当たります。もちろん、スキャンすること自体が複製権の侵害になります。

ちなみに、社員が執筆した記事ならどうでしょう。この場合は、法人著作(15条)となるため、記事全体の著作権を会社が持っているように思えますが、掲載ページをコピーすると、他人の著作権を侵害する可能性があります。例えば、挿入された写真の著作権は、撮影したカメラマンが持っているでしょうし、写真やタイトルの配置など全体のレイアウトは、編集著作物として、その新聞社、雑誌社が持っている場合があるためです。

私の所属するコンピュータソフトウェア著作権協会では、「新人」と「先輩」の会話を通じて、著作権の概要やビジネスシーンで侵しがちな著作権侵害の実例を会話形式で分かりやすく紹介した小冊子『ビジネスマン必携!知って得する著作権』を無料配布しています。PDF版( http://www2.accsjp.or.jp/books/pdf/business.pdf )もありますので、参考にしてください。

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